溜め息だけ

2002年12月24日 恋愛
はぅ。
さっきからずっとため息が止まらない。
ため息一つで幸せが逃げるなんていうけど、
まさにそんな気分だ。
幸せが逃げる感覚、
不幸に近づく感覚。
気持ちは重くなるばかり。
でも。
そんな事はつゆ知らず。
いびきまでかいちゃって寝てる隣の男。
誰のせいでこんな気持ちになってると思ってるんだか。
この人が悪いわけじゃない。
悪いわけじゃないけど、誰かのせいにしたくなる。

ベッドに入ってきた瞬間、
ドキドキした。
どうしよう、コイツやる気だよ、
とかってちょっと笑った。
それと同時に、
あたしが想像してた妄想が現実になってることに
違和感を覚えた。
妄想はもっときれいなものだったけど、
現実はもっと、卑しく、欲望そのものしかなかった。
変な感じがした。
さっきまで、一緒に仕事をしていた。
普通に接してた。
普通に喋ってた。
そんな関係になるなんて微塵も思わないほど。
おかしい。
「あたし・・・バイトっすよ?」
そんな問いかけに、答えることもせずに
彼の手は止まる事を知らない。
明日も、この人と仕事をするのに。
私の中では確信があった。
“絶対普通に仕事できない。変に緊張する。”
でも。
拒め切れてない自分がいる。
それは、
私が人肌を嫌っていない事実。
彼を嫌がってない事実。
明るい場所で見たらこんなおじさんってくらいのおじさんなのに。
年齢だって、10も離れてるのに。
おなかぷよぷよしてるのに。
そんな事を考えているうちに、
そんな事が考えられない状況に持っていかれる。
あたしの吐息は荒くなり、声が出る。
気持ち良いだけに身を任せたくなる。
気持ち良いだけに身を任せてしまう。
でも、何かが歯止めをかけてるのか、
到達点にはいけない。
そんなことも罪悪感につながる。
だから、だからあたしは。

寝れない状態が続く。
深い眠りにつけない。
このいびきも一因みたいだけど。
人肌が気持ち良い。
ずっと、このまま包まれていたくなる。
それとは裏腹に、
私の孤独感は募り、寂しさは募り、
罪悪感が重くのしかかる。
この人にも、
自分にも、
悪い事をした気がする。
あたしのため息には気がつかないみたいだけど、
あたしのちょっとした動きには気がつく
繊細な人。
優しい人。
嫌ってくらい、実感してしまった。
そんな風に、
深く考えていたらいつのまにか疲れて、
眠ることができていた。

「大丈夫か?」
彼のそんな一言に起きた。
気がついたら、汗だくだった。
シーツもべっしょべしょ。
何か悪い夢でも見ていたのかもしれない。
尋常じゃない汗のかきかたをしていた。
のどもすごくかわいてる。
どんだけでも水が飲めるくらい。
私は沢山水を飲んだ。
ぼんやりしながら、
夢じゃなかった事をまた振り返ってしまう。
「そっち、冷たいだろ。こっちにおいで。」
彼の言葉に、素直にうなずけない。
なんでか、もう一緒に、
肌が触れる距離にいるのがつらいと感じた。
でも、しかたないし。
彼のいるベッドにもぐりこむ。
「もう7時なんだ・・・」
あたしがつぶやく。
「朝食、食べてこようかな。」
「あたしはいいや、なんか胃もたれしてる気分だから。」
ぼんやり、うとうとしつつ、受け答えする。
彼が、もそもそと朝食を食べに行く準備をしてる。
準備してたと思ったら、
またベッドにもぐりこんできた。
あたしはまだうとうとしてた。
ふと、何かに、気づく。
不穏な手の動き。
胸に手がまわってきて、
ほっといておいたら、どんどん、エスカレートしてった。
おぉーい、朝っぱらからっすかー。。。
とあきれ気味になりつつも、
無視してた。
あたしはもう関係を持ちたくないと思ってるのに。
それでも、体は反応してる。
「また濡れてきた。」
「誰のせいだと思って・・・」
反応は止められない。
彼の行動だって、あたしには止められない。
結局。
朝からいたしてしまった。
「朝食食べに行くんじゃなかったの?」
「今食べた。」
「ばか。」
もう、つくづくばかな男。
それから間もなく、彼は朝食を食べに行った。
あたしはいそいそとバスルームへ足を運ぶ。
「はぁ。・・・生でしちゃった。」
生でなんて、久々で。
ダイレクトにそのモノの形がわかるんだなぁ。
久々にその感触を感じてしまった。
気持ちよかったのは事実。
でも、あとで、不安になったのも事実。
自分がどんな状態にあるかって、
把握してなかったから、
怖いものがある。
あたしは必死に中を洗った。
掻き出すように。
怖さが、罪悪感が、さっきまでの感触も何もかも、
吹っ飛んでしまえば良いのに。
掻き出して、なくなってしまえば良いのに。
あたしは泣きそうになった。
でも泣けなかった。
帰ってきた彼に泣き顔を見られるのは嫌だから。
それなりにスッキリした私は、
また寝ることもできず、
しかもおなかがすいてきちゃう始末。
なかなか、弱くもないんだな、自分。
そんな風に思った。

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